参考にしたいプロの入浴介助
入浴の手順と自宅でもできる工夫
自宅で入浴介助を行う際に参考にしたい、プロの介護士の入浴介助についてまずは紹介します。手順や心に留めておきたいことを確認したら、自宅で取り入れられそうな工夫についても考えてみましょう。
入浴の手順
介護士が入浴介助を行う際は、まず用意してある介護用チェアに利用者を移乗させます。そして臀部が介護用チェアの後ろまで下がってしっかり座れているかを確認した後で身体を洗い始めます。
身体を洗い始める際は、まずは掛け湯を行うことから始めていきます。介護士自身でお湯の温度を確かめてから、心臓より遠い部位からお湯を掛けていきます。利用者にも適温かどうかを確認し、心臓に負担がかからないように身体を湯温に慣れさせるためです。
この掛け湯が終わってから頭と身体を洗っていき、頭を洗う際にはお湯が耳に入らないように耳を塞ぎます。そして頭皮を傷つけないように爪を立てず、指の腹でゆっくりとマッサージするように優しく洗っていきます。
頭と身体を洗った後は、タオルで顔と身体を拭いていきます。目の周辺は優しく目元部分から拭いて、顔全体を拭く際は内側から外側に向けて拭きます。顔は1回拭くたびにタオルの面を変えて、できるだけ乾いている部分を使うよう意識します。
身体を洗い終えたら、身体を支えながら慎重に浴槽に利用者を浸からせていきます。浴槽から出る際は介護用チェアへ移乗して、身体を支えながらタオルで身体を拭いて入浴介助を終了します。
介護士が心がけていること
何人もの利用者を相手にしてきた介護士でも、入浴介助は特に慎重に行うべきという意識を持っています。そんな介護士が入浴介助中に心がけていることは「声かけ」と「指差し確認」です。
声かけは利用者に対して次に何をするのかを伝えるために行われ、声かけがあることで利用者も安心して入浴をすることができます。指差し確認は慣れていても事故が起こらないとは限らないため、安全面に配慮するために行われています。
自宅でも行える入浴介助の工夫
ここまでプロの介護士の入浴介助について見てきましたが、これを参考にして自宅でも取り入れることのできる入浴介助の工夫について考えてみましょう。
まず転倒防止となる手すりや滑り止めマットなどは、自宅でも用意しようと考えれば用意することは難しくないものです。そして何かにつまづいたり、物を避けようとして無理な体勢とならないように、浴室に多くのものを置かないような配慮もできます。できるのであれば広めにスペースを確保することも高齢者の入浴に際して安心できる準備のひとつです。また介護用チェアがなくても、浴室のイスにタオルを置いてなるべく滑らないようにするといった工夫も考えられます。同様に滑らないように滑り止めマットを用意した以外の部分も、こまめに掃除したりするなどの配慮をすることも効果的です。
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