入浴事故は意外と多い
高齢者が安心して入浴するために
高齢者の入浴にはさまざまな効果や目的がありますが、しっかりと注意して行う必要があります。入浴事故により亡くなっている高齢者は多く、年々増加している傾向にあります。それではどんなことに気を付けて行えば良いのでしょうか。
意外と多い入浴事故
入浴介助を考える際にまず知っておきたいことは、入浴事故により亡くなっている高齢者が多いということです。高齢者の死亡原因のうち、不慮の事故は5番目に多い死亡原因であり、その不慮の事故の大半は入浴事故が占めているほどです。つまり入浴介助は慎重に行わなければならないものであるということがよく理解できるはずです。消費者庁による入浴事故の実態が確認できる資料を下記に紹介しておきます。
リンク先を別ページで開きます入浴事故の原因
入浴事故が起こる原因は様々ありますが、中でも多いのは意識障害による入浴事故です。入浴している間に意識が飛んでしまい溺死してしまうというケースが多いです。入浴中の意識障害は浴槽に浸かった際の温熱作用と、身体にかかる静水圧作用が関係しています。この2つの作用により高齢者に大きな負荷をかける状態になるため、失神やめまいなどを引き起こして入浴事故の原因となります。
またお湯の温度と入浴時間も入浴事故の原因となりますので注意しておきましょう。高齢者は身体の抵抗が弱まっているため熱いお湯が好きな人は多いですが、温度の高いお湯に長い時間浸かるのは危険です。適温は基本的に38度から40度で10分程度を目安に入浴しましょう。
事故が起きにくい環境を作る
入浴事故の原因を紹介しましたので、次はこれらの原因をなるべく排除した事故の起きにくい環境について知りましょう。この入浴事故が起きにくい環境を作ることで、高齢者が安心して入浴を楽しむことができます。
まず温熱作用で温まった状態から急に体を冷やしてヒートショックとならないよう、なるべく温度差のない環境を用意しましょう。以下に紹介しますきらッこノートでは、ヒートショックの危険性を詳細に解説している他、入浴の目的、手順などについても紹介しています。
ヒートショックが起こるのは特に冬場が多く、脱衣所に暖房器具を置くと良いでしょう。脱衣所の温度は介護士が少し暑く感じるくらいが調度良いといわれます。
引用元:https://job.kiracare.jp/note/article/1329/
リンク先を別ページで開きますそして入浴中は温度を低めに設定し入浴時間を短くすることも効果的な対策です。お湯の温度を40度以上に設定することを避け、入浴時間は10分ほどとしましょう。以下のエリエールのページでは、すぐに役立つ介護の情報として、入浴のポイントを手順ごとに詳しく解説しています。
お湯の温度は、摂氏40度くらい。
お年寄りの皮膚は、若い人に比べて温度を感じにくくなっています。特に熱すぎるお風呂は危険です。お湯の温度には充分注意しましょう。
引用元:https://www.elleair.jp/attento/care/adv_clean01.php
リンク先を別ページで開きます入浴するタイミングについて
最後に、適切な入浴のタイミングについて理解しておきましょう。
入浴はタイミングによってもそのリスクが大きく変わります。食後は血糖値が上昇している状態ですが、このタイミングで入浴すると身体にはさらに血圧上昇という負荷がかかることになるので、大変危険です。
食後と同様に早朝の入浴も避けるべきタイミングです。まだ身体が完全に起きていない状態での入浴は非常に危険で、高齢者だけではなく中高年の人や若い人でも入浴事故が起こっています。
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